« 前の記事| 後の記事 »

【実施レポ】フレーズの法則(鈴木弘尚先生)

3月24日(月)千里ヤマハホールにて、鈴木弘尚先生による、「フレーズの法則」の講座が行われました。2014年度ピティナ・ピアノコンペディション課題曲を題材に、美しくしなやかなフレージンングにするために必要なことを、鈴木先生の素敵な演奏を交えて、わかりやすく解説してくださいました。
音楽とはイントネーションの芸術である。イントネーションをしっかり持つことで、フレーズに形を与える。単純なフレーズの形は、アーチ状であり、音の頂点とは別に、引っ張る重心がどこかに存在する。もともとフレーズは真っ平らなもので、どこかに重心があることによって、真っ平らなものが、曲がっている。リズムとは、エネルギーの変化であり、そのリズムには、旋律リズム(楽譜に書いてあるリズム)と和声リズム(和声の動きによって変化するもの)がある。フレーズの重心の場所は、リズムによって生まれる。一見単純な旋律的リズムを見落としがちで、重心を見失ってしまう事が、よくある。重心の場所の深さの具合でアーチの傾斜の具合が変わってくる。音の高さによる見た目の頂点と、旋律、和声による心理的頂点とは、ずれが生じる。
フレーズの形式に、「バルーン形式」というものがある。それは、A-A-B(B=2A)となるもので、フレーズの長さが違う。2Aは、長いフレーズになるので、呼吸量が違い、そのフレーズの始まるアーチのイメージは緩やかになる。この緩やかさが伝えたいことを強める働きをする。こういった変化が、演奏上の表現に繋がる。
 このように、フレーズの形や、中心点を考えることにより、伝えたい個所や、そこに到達するまでの弾き方に、距離や深さなどの違いが生じてくることがわかりました。ただ、なんとなくフレーズを感じるよりも、こういった流れや方向性に基づいて考えることにより、ある共通点に繋がり、これがフレーズの法則なんだと新しい発見がたくさんありました。「フレーズの法則」まだまだ奥が深く、もっともっと知りたくなるような、とても興味深い内容でした。

(Rep:ピティナ北大阪ステーション 最上惠利子)


過去の記事(月別)


HOME |  協会概要 |  入会案内 |  採用情報 |