ごあいさつ
ピティナ・ピアノステップ秋田地区へのご参加ありがとうございます。
「山鹿のピアノ」または「木村ピアノ」と呼ばれているピアノを
ご存じの方も多いことでしょう。
1924年頃(大正時代末期)、美しいピアノの音色に感動した山鹿の木工職人の
木村兄弟が、より多くの人にピアノの素晴らしさを伝えようと、近所の人が購入した
スタインウェイのアップライトピアノを手本にして見よう見まねで作り上げたものです。
当時は、日本製アップライトピアノが650円、
スタンウェイなどの輸入ピアノが1600円。
公務員の初任給が60円の時代ですから、
とても庶民の手が届くものではなかったのです。
そこで、自分たちで作ろうと思い立ったということですが、
この兄弟の熱意と職人技、そして本当の出来事とは思えない
奇跡のようなストーリーに感動の声が寄せられ、全国的に知られるところとなりました。
奇跡のピアノは十数台作られ、現在その中の一台だけが戦火を免れて
熊本県山鹿市立博物館に残っているのです。今までも、そしてこれからも
変わらずに山鹿の人々に愛され、守られていくことでしょう。
このように、日本に伝えられて以来、人々に愛され続けているピアノ。
今では、だれでも演奏を楽しむことができる身近な楽器の一つとなりましたが、
最も身近であり最も演奏の難しい楽器であるとも言えます。
しかし、すぐに思い通りに弾けないところも、ピアノの魅力かもしれません。
どうぞ、ピアノの音色に包まれて過ごすことのできる幸せを味わいながら、
今日の演奏をお楽しみください。
ピティナ秋田支部長 若松マキ
(当日のプログラムより)