◆発表者とテーマ(発表順)
(1)大森 京子 先生
「物語で彩る、みんなで楽しむ発表会」~選曲・パフォーマンス・鍵ハモで演出
(2)畑山 千恵子先生
「日本未出版の、アメリカ作品の魅力」~ギロック、ロリン、ミアー、オースティン
(3)中羽 政美
「私を成長させてくれるピアノ教室」~メンターとの出会い、ダブルレッスン
(4)田口 翔
「音楽の楽しみ方」~ただ音楽がそばにあるという幸せ
【レポート】
「ピア・ラーニング」・・・仲間の研究活動成果を聞き「共に学び、お互いの研究・音楽・指導に活かせて行けたら良いな」という願いから始まった会、今年は4回目の開催です。過去3年で、既に12人の方のお話が聞け、今回は新たに4人の山手支部会員の発表でした。
1) 大森京子先生「物語で彩る、みんなで楽しむ発表会」
『発表会は教室の顔』という位置づけで、①オリジナリティーのあるプログラム ②皆で楽しく参加できる ③特別な一日で有りたい! を目指しているそう。
例えば、ソロ曲の第1部に対し、第2部では「動物の謝肉祭」をアンサンブルで演奏する。発表会の開会では、特別なファンファーレを(山手支部会員に)作曲依頼し、鍵ハモで演奏する。また、入会間もない子供達は、「わんぱくマーチ」の歌で参加をする。映像と朗読と連弾を上手に取り入れ、会を盛り上げている様子を紹介されました。
日頃の指導では、「ピアノも音楽も嫌いにさせたくないので、楽しいイメージが持てるように工夫しています」とのお話し下さいました。
2) 畑山千恵子先生「ギロックとアメリカの作曲家たち」
畑山先生は ①ブルグミュラー程度から弾ける曲 ②右左の手を対等に扱う曲が多いと言う観点から、アメリカのいくつかの作曲家を取り上げ、演奏を交えてその作品の魅力を伝えて下さいました。特に、日本では未出版の、C.ロリン「サマー・ヴァケーション」、G.オースティン「叙情エチュード集」より数曲を演奏紹介されたり、海外から取り寄せた楽譜を会場で回して下さり、貴重な機会となりました。
バスティンや、ギロックはじめ、アメリカの作曲家の作品が指導現場で多く使われていますが、日本人の作曲家の曲をもっと弾かせる機会が持てると良いのに・・・という問題提起も、私たちに投げかけられました。
3) 中羽政美先生「私を成長させてくれるピアノ教室」
12年前から、店舗型教室(ガラス張り)でレッスンをされる中羽先生。「いつも見られている」からこそ頑張れるという中羽先生の指導形態は、もうずっとダブルレッスン。
一人の生徒に対し、2名の講師が隔週で指導するスタイルのダブルレッスンで、①レッスンノートの活用でレッスン内容を共有できる、②先生の違いでアプローチの仕方が変わり、生徒が自分に合う練習方法を選択できる等、③マンネリ化がなくなる、などのメリットを挙げられました。
「まずは動いてみよう!」という姿勢で行動することで、メンター(生き方に良い影響を与えてくれる人)に出会い、ピティナでの学び、活動がどんどん広がって行き、自身の成長につながったと聴き手に勇気を与えてくださいました。
4) 田口翔先生「音楽の楽しみ方〜ただ音楽がそばにあるという幸せ」
ピアニストの田口翔さんは、現在ピティナ本部事務局でも活躍している。5歳からピアノをはじめ、ピアノを弾くことだけに専念し、ピアニストへの道を歩んだが、いくつかの挫折があったといいます。東京芸高卒業後、数年迷いを抱えて過ごし、その後留学したフランスで"自分"と"自分の音楽"を見つけたといいます。留学先で道を歩いている時に、フランス人の先生が田口先生の足早な歩き方を見て、「あせるな!」と言われたそう。そこから、ゆっくり歩いてみることで、見えるものが違ってきたそうです。「南仏の大自然とセヴラックの音楽が、自分に合っていると感じた」・・・と、セヴラック作曲『祭り』をを繊細で確実なタッチで素敵に弾かれました。
司会の壁谷文男先生の「回り道をした人が良い指導者になれますね!」の言葉に、「ロスタイムは大切です」「音楽より人生が大切です」と、とても穏やかでやさしい言葉に、田口先生の「幸せ」を実感されている様子が伝わりました。
4名の会員の、等身大でとても素直な、普段なら伺うことがなかなかかなわない私的なお話が伺えてよかったです。この日常の気づき、日頃の感動のシェアを大切に、来年も続けて開催されることを期待します。
(文:尾関知子 山手支部会員)
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