2012年11月22日(木)、豊島区の東音ホールで、第1回Peer Learning ピア・ラーニング (旧名称CrossLearning クロス・ラーニング)が開催され、33名のご来場をいただきました。「Peer Learning ピア・ラーニング」は、それぞれの学びを"共有・共感・情報交換"し、お互いの研究活動に生かすことで音楽(指導)の世界を広げていただく目的で、支部会員からの要望により実現した企画です。
今回は、ピティナ山手支部 所属会員4名が、それぞれ日頃の研究活動の成果を20 分間に凝縮して発表。その後10 分間、司会者によるまとめを経て、質疑応答の時間が持たれました。参加者からの感想や疑問に、発表者は丁寧に答えておられました。
セミナー講師や講演など務める機会が少なく、むしろ受講する側でいることの多い支部会員にとって、短時間ではありますが、研究成果を発表する機会は、自身や教室を見つめ直す機会になったとのこと。また、熱心に学ばれるお仲間(参加者)の姿勢に刺激を受けたり、ピティナをより身近に感じることができた、とのお声も寄せられました。参加者にとっても、より身近な体験談、失敗談から得た内容を共有いただけ、お教室に持ち帰られる内容も多かったことでしょう。
最後になりますが、ピティナ専務理事・東音企画社長の福田より挨拶があった通り、「会員同士の学びをCross(交差)させる」というところから"Cross Learning クロス・ラーニング"と命名しましたが、当研究発表会は「仲間同士が互いの力を発揮し、協力して学ぶ」という意味合いにより近いということで、このたび"Peer Learning ピア・ラーニング"と改称致しました。来年度の第2回Peer Learningをお楽しみに!
◇支部会員の、第2回発表者を募集しています。自薦・他薦を問いません。
ピティナ山手支部までご連絡をお待ちしています。
【開催レポート】第1回 クロス・ラーニング
~山手支部会員による個人研究発表会~
1)ご挨拶:上総治子先生(山手支部 支部長)
司会よりイベント主旨説明:壁谷文男先生(板橋フレンドステーション代表)
2)発表:吉沢頼子(よしざわ よりこ)
「リズムを形にしてみると!」~楽しく解りやすいリズム指導 「イルカ・リズム」編
呼吸感やアウフタクトなど、生きたリズムを子ども達におろしていく難しさを感じる中、イルカの遊泳やジャンプを見て、リズム指導につながるに至った。独自の理論に基づく楽譜に波形を書き込みながらリズムを可視化する方法が、子供達の楽譜を見せながら日々指導に根付いているかを紹介された。
壁谷先生からアウフタクトについて質問が出ました。
3)発表:仙田麗子(せんだ れいこ)
「なぜリトミック教室に100名以上生徒が集まるか」~ピアノへのつなげ方
30名の生徒で始まった自由が丘のリトミック教室が、ピアノ教室につながる140名規模になった経緯を、主に経営目線でご紹介。現代の母親が求めるものを考察しながら、一方で教室の人気を印象づけながら、リトミックからピアノへつなげる方法など、細やかな目線と工夫の積み重ねが教室の拡大へとつながったとうなずける内容だった。
参加者より質問、「リズム感は生まれ持ったものがあるように思います。どのように指導していくべきでしょうか」に対して、仙田先生は、「教室に3名の講師がいるので、それぞれ違った方向からアプローチするように心がけています。そして、その子の弱点をそのまま個性として受け止めることも重要です。それを保護者にも理解してもらうんです」との温かいコメントも。
4)発表:両角理恵(もろずみ りえ・武蔵府中ステーション代表)
「導入から名曲まで、近道の作り方」~生徒に応じた導入教材選びと組み合わせ方
多種多様な導入教材を網羅的に研究し、それぞれの生徒の、その時に必要な課題を分析、教材を渡しているそう。ピアノがまだ弾けない生徒にはアプローチに鉄琴を使う工夫も。特に発表会におすすめの連弾についてが、教師の心得、選曲のポイントなどを解説。スタッフとの連弾実演も披露された。一見強気なアコースティックピアノ所有についての姿勢は、指導者の真剣さと気迫を感じた。
質疑応答で、「ソルフェージュで歌わせたくても、最近の子供は恥ずかしがって歌ってくれない。」との参加者SOSに、「幼稚園や学校で歌っている曲を聞いて、簡単な曲にはアレンジと伴奏をつけて歌わせます。ヤマハの"うたうソルフェージュ"という楽譜もおすすめ」と両角先生。福田社長の「発表会で、指導者が連弾のパートナーになる比率は?」との質問には、「連弾のパートナーは指導者、親、兄弟、友達同士、さまざまです。入ったばかりの生徒が多かった昨年は、ほとんど指導者が連弾のパートナーをしました。ピアノを弾ける保護者の場合、親子のコミュニケーション、思い出づくりになるので、発表会で連弾はおすすめです。」とのこと。連弾のメリットについて、司会の壁谷先生からも「止まり癖がなくなるという話も聞きますし、子どもながらに責任を感じて、ソロより練習をする子もいます。男の子には可愛い女の子をパートナーに選ぶと、見栄を張って練習を頑張ったりします(笑)」とのアイディアが。
5)発表:山崎栄子(やまざき えいこ)
「即興演奏でレッスンを盛上げる」~練習が苦手な生徒にも音楽の楽しさを!
3年前、ご主人の転勤で東京から長野へ引っ越した山崎先生。教育熱心な地域に新規参入するための工夫、根ざすアイディアを紹介された。自分に何ができるか、地域が何を求めるかを考え、見つけた"隙間"は、「感性を育てる音楽教育」。百人一首とジャズのsus4のコラボ、子供の書いた詩や怖い物語に全音音階で即興曲、3・3・7拍子のリズムとジングルベルのタイアップなど、目から鱗、でも自然で手軽に今日から試せるレッスンアイディアを惜しみなく紹介された。

6)ご挨拶:福田成康(ピティナ専務理事/ピティナ山手支部事務局 東音企画 代表取締役社長)

【アンケートより】参加者のお声
・4名それぞれの角度、視点からのお話は、早速レッスンで活用できそう。指導の引き出しが増えた。
・短時間で中身の濃い会だった。もっと詳しく聞きたいという気持ちになった。
・地域によって教室の宣伝や、指導アプローチが変わることに気づかされた。
・感性、リズム感、教材、教室経営と、バランスの良い内容だった。
・熱意、気づき、発想が盛りだくさん。ピアノ教師としての原点に気づかされた。
・自分のやってきたことは間違っていなかった!という勇気を得た。
・先生方の努力に拍手!次回も期待します。
♪次のピア・ラーニングで聞いてみたい内容(抜粋)
コーチングとピアノ指導、楽器の勧めかたレッスンアイディア、
小さな子に名曲を教える方法、読譜のアプローチ、
大人のレッスン導入
スムーズにいかない生徒や障害を持つ生徒への指導法
リトミック・教材研究・即興演奏、指導現場からの生きた研究成果
(→今日のような内容をもっと聞きたい) など
◇皆様のご意見ご感想をお寄せください。 →ピティナ山手支部(担当:村上)まで
◇ピティナ山手支部活動(セミナー・コンペ・ステップほか)をお手伝いくださる先生方も募集中。ご一緒にお勉強するお仲間をお待ちしています。
(お問い合わせは、メールまたはTEL:03-3944-1581/FAX:03-3946-4457 まで)