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ヤシンスキ先生による「ショパンのピアニズム」楽曲レクチャー&公開レッスン

【 音の葉研究会特別講座 】

ショパン国際コンクール in ASIA 審査委員長として来日中のアンジェイ・ヤシンスキ先生によるショパン講座と公開レッスンが一昨年に続き今年も開催されました。

2015年1月15日(木)10:00~12:00 ショパン楽曲レクチャー
13:30~15:30 公開レッスン

川口リリア 4階スタジオにて

美しい音は喜び

「弾くこと、練習することを楽しんで勉強して下さい。」

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というお話から講座は始まりました。
素晴らしい演奏を言葉にすることが出来ませんが、印象的な先生のお言葉をいくつかご紹介致します。

「How How How・・・」

色々な質問を自分にするのです。

バイオリンで弾いたとしたら?
歌手が歌っていたとしたら?
ベートーヴェンならどう弾いただろうか?

そして、今の自分の演奏には何が足りないのか考える。
どのようにしたら理想の音に近づけることができるか試すのです。

また、演奏する曲の作曲者はどのような人間か?どのような音楽家か?考えます。

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レガートは脱力指の運び

取り出された一本の消しゴム付えんぴつ。

その消しゴム部分を鍵盤に乗せては滑らすように一つずつ鍵盤を下げメロディが奏でられると、まるで両手を使って弾いているかのような美しいレガート。

良いフレージングは どの音も違って 聞こえること

・言葉を話す時とピアノを弾く時との共通点

 伝えたい大切な言葉には自然と個々に異なる抑揚をつけて話しているのと同じように、演奏でいえば奏者にによってどこを強調するかは変わるのが当たり前で「これが正解」というものは無い。

・フレーズの1音目を弾いた時は、フレーズ全ての音のイメージが出来ていること。
 = 全体を見渡したうえでルバート

・長い音を出す前には、しっかりとした準備が必要。
 出したい音のイメージをもって時間をかけて飛び込まない。
(フェルマータ←→アッチェレランド)

演奏する上で気を付けるべきことや大切なことを、たくさんの演奏とお話で私達に伝えてくださったヤシンスキ先生。
午前の最後には、モーツァルトの演奏プレゼント ♪
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参加者とランチをご一緒して頂いた後、午後は公開レッスンが行われました。

「こう弾きたい」 という意思が聴いている人へ伝わるように。

以下、アドバイスの一部です。

・クレッシェンドの始まりは弱く
・クレッシェンドのエネルギーを感じながら体の重みはかけすぎない
・pでも指の関節の支えはしっかり
・リズムは楽譜に正確に
・左手の伴奏はメトロノームのように正確に刻み、右手のメロディは自由に歌って

フレージングや体の使い方、有効な練習方法などが具体的に示された他、曲の書かれた背景や欲しい音のイメージなどたくさんのアドバイスを頂きました。

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DSC02562 (2).JPGのサムネール画像

受講者:米倉令真さん

曲目:軍隊ポロネーズ Op.40-1
   ハンガリー狂詩曲第11番(リスト)
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受講者:秋林 佑奈さん
曲目:幻想曲 Op.49
   エチュード「黒鍵」Op.10-5

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昨年末に亡くなられた永瀬まゆみ先生はヤシンスキ先生のことを「世界中で一番尊敬するピアニスト」と仰って、この講座を会員へのお年玉企画としてご準備下さいました。
小さなスペースで少人数を対象にごく間近で演奏を聴きながらショパンについてレクチャーして頂ける濃い時間を、会員とともに永瀬先生も心待ちにされていたことを思うとこの場にいらっしゃらなかったことが残念でなりません。

永瀬先生が残して下さった特別な学びの場を会員一同力を合わせて引き継いでいきたいと思います。

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ヤシンスキ先生、永瀬先生、そして輝きを増す素敵な演奏を聴かせて下さった受講生のお二方、素晴らしい講座をありがとうございました。

<文責:須藤 美帆>


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