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関本昌平先生によるバッハと古典派演奏法

音の葉研究会2014年最後の実践講座は、関本昌平先生のピアノに加えファゴット奏者の今木先生をお迎えし、バッハと古典期作品の奏法の可能性についてご教授頂きました。

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◆講師:関本昌平先生(Pf.)
今木智彦先生(Fg.)
◆場所:川口リリア 音楽スタジオ
◆日時:2014年12月11日(木)
午前10:00~12:00
午後13:30~15:30

◆内容:バッハについて(午前)
古典派作曲家について(午後)

修辞学 (しゅうじがく)というのをご存知でしょうか?

修辞学は、弁論・叙述の技術に関する学問分野。
(レトリック、雄弁術、弁論術、説得術とも。)

欧州古代・中世で教養の中核を成していたが、近代に衰退。古代・中世の教育規範である自由七学芸の内の一つ。基本的には演説の技術で、いかに聴衆を納得させるかを目的とするかなり政治的なもの。(※ウィキペディアより参照)

当時、ある一定以上の身分の人は教養として身につけていたものなのだそうです。

「古典・バロックは 音の持つ意味・役割 を理解していないと演奏出来ません。」

と、関本先生は仰います。

例えば、

3 神 (三位一体)
4 人・地球/喜怒哀楽
6 天地創造
7 安息
(=3+4)
10 十戒・律法

など。

音の数、声部の数、楽器の数、回数などに意味が刻み込まれています。
数の理解によって説得力が生まれます。

パズルやナゾナゾのように組み込まれた数へのこだわりは、音楽によって表現しようとした内容と直結したメッセージなのだということが分かりますがお話はこう続きます。

「研究家にならず、知ったうえで自分がかみ砕いてどう表現するかが大切です」

当時の音楽の役割・意味やバッハの経歴からみた作品の意図などについてのお話に続いて、実際に表現する方法を演奏して頂きました。

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その中で、歌や他の楽器(またはオーケストラ)で演奏した場合の

息づかい ボウイング (弓の動き) タンギング

を考えた時に、ピアノではどう表現すると自然な流れを作ることが出来るか・・・ 間の取り方、アーティキュレーション、トリルなどの例が示されました。

「跳躍する音は時間を長めにとる」

管楽器や歌の場合、口や喉、息などに準備が必要ですね。

でも、ピアノで演奏する時いつでもそのように弾けばいい?
かといえば、もちろんそんな単純な話ではありません。
どのように演奏するかはその時々に合わせた個々の選択になりますが、ただ一つ明確なのは 意識して いるか、いないか、がよりよい演奏への分かれ道になるということです。

午後は、

ハイドン・モーツァルト・ベートーヴェン

3人の作曲家それぞれの個性と演奏上のコツについて、たくさんの例を挙げて細かなテクニックなどを盛り込みながら弾き比べをして頂きました。

作曲家固有の「らしさ」 を上手く表現できると、こんなに生き生きとした演奏になるのだという感動の連続。

また、お二人の熱い思いを語る掛け合いで時間いっぱいに多様なお話を伺うことができました。
zentai.jpg 関本先生、今木先生、素晴らしい講座をありがとうございました!

関本先生には次回 2015年7月4日(土) さいたま芸術劇場にて、公開レッスンと名曲コンサートを行っていただく予定です。

※お問い合わせは音の葉研究会ホームページもしくは otonoha0202@gmail.com まで。

<文責:須藤美帆>


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