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中井正子先生 「ドビュッシーの作品より」講座

2015年6月10日(水)10:00~12:00

ピアニスト:中井正子先生による"テクニックシリーズPart2" 

   第2回「ドビュッシーの作品より」講座を開催いたしました。

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曲目・・・

・アラベスク第1番

・ベルガマスク組曲

・喜びの島

ドビュッシー(1862~1918)は、その初期から後期までさまざまな素晴らしいピアノ曲を残しました。

そこには 才能以外に2つの大きな背景があったといえます。ひとつは12年間も在籍したパリ国立高等音楽院のアカデミックな教育です。もうひとつは、当時盛んに行われていたサロンです。

上流階級の貴婦人たちがサロンの女主人として自宅に友人たちを招き、ドビュッシーのような音楽家のたまごや、詩人など、芸術家のたまごを彼らに紹介したのです。その中でドビュッシーは文学や他の教養を身につけていきました。貧しい家に生まれたドビュッシーでしたが、その音楽にえもいわれぬ優雅さがあるのは、こういう背景があったからこそといえるでしょう。特に初期の作品においては、優雅な暮らしへのあこがれが作品にも反映しています。

アルテス)ドビュッシー ピアノ全作品演奏ハンドブック  ・・・ はじめに より

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♪ アラベスク第1番

 楽譜を見ると唐草模様のように書かれた音符が見えます。

これがまさに題名の"アラベスク"、アラビア風装飾模様のことで、ドビュッシーは音だけでなく

楽譜の見た目もデザイン化して書いているようです。

同じ音楽でも音色が違えばそれだけで人は魅了されるものです。

ハーフ・タッチを使うことがポイントです・・・夢の中にいるような柔らかい音が出せたり、

また 各声部のバランスの弾き分け をすることによって立体的な響きが出せたりと

たいへん素晴らしいタッチです。ただし、グランドピアノでないとできません。

 ♪ ベルガマスク組曲

「2つのアラベスク」と同様に、ドビュッシーの初期の代表的な作品で、フランス19世紀末における

上流階級のサロンでの、ルイ王朝趣味を反映しています。

1)プレリュード 2)メヌエット 3)月の光 4)パスピエ の4曲で組曲となっています。

このように舞曲を中心としているのは、曲集全体がフランス・バロックの組曲を意識して作られているからです。

♪ 喜びの島

ドビュッシーの円熟期に書かれた有名な曲です。

ルーヴル美術館にある、18世紀の画家ジャン=アントワーヌ・ヴァトー(1684~1721)の

「シテール島への船出」という絵画からインスピレーションを得て書いたといわれています。

シテール島とは架空の島で、「恋人たちの愛の島」という設定ですが、ドビュッシー自身もこの時期、

実はエンマ・バルダック夫人との恋愛のまっただ中にあったのです。

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 中井正子先生著書 ドビュッシーピアノ全作品演奏ハンドブック(アルテス出版)

表現、タッチ、強弱、ペダリングからドビュッシー自身が楽譜に記したフランス語の解釈まで

懇切丁寧に書かれています。

先生の素晴らしい演奏を聴かせていただくことで タッチ、強弱など 大変わかりやすくなりました。

ドビュッシー作品を演奏するには、タッチ、ペダリングが欠かせない技術です。

そして技術を使って表現するセンスが必要となります。

フランス語や表現上のセンスを知る ことも、

ドビュッシーの音楽を理解するうえで非常に大切なことです。

中井先生 素晴らしい演奏、わかりやすい解説していただき ありがとうございました。

ご来場いただきました皆様 ありがとうございました。

次回 第3回 ドビュッシー 子供も大人も楽しめる小品を中心に

2015年12月16日(水)10:00~12:00 開催いたします。

是非 ご来場くださいませ。 

 


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