今年も、新緑の美しい季節にステップを開催することが出来ました。関東にお住まいの鈴木弘尚先生、諏訪幹雄先生、田代稚恵美先生、平嶋裕美子先生をお迎えして、演奏をアドバイスして頂きました。
第1部は、導入1の可愛らしい小さなピアニス達からの登場です。
リズムも音も正確に弾かれていて、小さな体から存在感ある音楽が生まれていました。
3、4部では、ブルグミュラー25の練習曲を、12人の方が弾いていました。
「アラベスク」「バラード」「タランテラ」「貴婦人の乗馬」・・・・私が子供の頃から親しまれてきたこの曲集はピアノを習い始めて、初めて曲のタイトルを強く意識した1冊だったような気がします。
メロディやリズムにもインパクトがあり、ワンランクレベルアップした、曲らしい曲と言いましょうか・・・。
いざ弾いたら難しく、必死に練習したのを憶えています。
この先いつの時代も、子供の心をつかむポピュラーなブルグミュラーでいることでしょう。
さあ、5、6部になりますと、ピアノ暦も佳境に入っているプチベテラン方の登場です。
クレメンティ、ハイドン、ベートーヴェン、チャイコフスキー、ショパン、ドビュッシー・・・偉大な作曲家たちの楽曲が並びます。ここはいばらの道。曲が華やかなだけに、技術も感情移入も高度になります。
そんな恐怖感をいとも簡単にポーンと蹴飛ばし、舞台袖から堂々と歩いてくるピアニスト達を見ていると、よくぞここまで上達したなぁと、目を細めた瞬間でした。
8部はいよいよ注目の大人の方の演奏です。20~50代の方が出演され、男性は、13人中4人でした。
演奏前のコメントからは、ここに至るまでの本音と挑戦がにじみ出ており、その演奏に深みを増しました。
演奏のうわべではなく、演奏者の心の響が聴衆の胸に伝わってきた気がします。
私個人的には、一人一人に大きな拍手を送りました。

8部終了後の鈴木先生の講評が大変印象的でした。『どうしたら緊張の中で弾けるのか』という大人の方の質問に対し、先生は『人前で演奏する時には必ず"緊張"という物が生まれてしまう。10人の前で弾くのも100人の前で弾くのも、実はそう変わらない。0人か1人かという所に大きな違いがある。だから必ず練習段階で、1人の前でいいから誰かに聞いてもらう事が大切である。』また、『たとえピアノで失敗したとしても、世の中は何も変わらない。いつものように世界は動く。ある箇所でとちっても、別のある箇所では、今まで出来なかった事が引き出されるかもしれない。』
・・・・つまり、演奏の失敗など、たいした事件ではない!と言う事です。

今回、鈴木弘尚先生のトークコンサートが2回ありました。北京オリンピックで浅田真央選手がフリーで使われた事でも知られる、ラフマニノフの前奏曲「鐘」は、迫力あるオーケストラとはまた違う感じで、ピアノの重厚な、神々しい音色が響き渡りました。その後、くるみ割り人形より「アンダンテマエストーソ」と続き、最後は先生のアレンジされた「天空の城ラピュタ」で締めくくりました。
ダイナミックな音と、最後の余韻まで大事にされる繊細さを併せ持つ、感動的な演奏でした。
一番前列で聴かせて頂き、至福の時でした。

また、昼休みと4部の後に、富山ちゅーりっぷステーション企画のバンド付き混声合唱をしました。
曲は宮沢和史/作詞・作曲の『風になりたい』。
メンバーはピアノ教師、開進堂楽器スタッフ、父兄や、ピアノ教室を巣立っていった生徒で結成しました。
言うなれば、即席コーラスバンドです。ところが、その"即席"が強い"結束力"を生み出したのかもしれません。
この企画で得たものは、全て私達の実になり、人間的にも指導者としても成長させてくれました。
短期間の集大成を、動画を通してご覧下さい。
とにもかくにも、今年の富山ステップが盛況で無事に終えることが出来、皆様に心から感謝申し上げます。