2014年の学校クラスコンサートは、ドゥオールのお二人をお招きし、富山県魚津市立経田小学校で開催いたしました。
藤井隆史先生と白水芳枝先生は富山滞在4日目。2日間にわたるステップのアドバイスやトークコンサートを終えられたところです。富山に入られてから、ステップ会場とホテルとピアノの練習室以外の場所には行かれず、まったくピアノ漬けの日々です。お食事もお弁当で済ませていらっしゃるほどです。お二人のピアノに対するとことん真面目な熱意を、そばにいてひしひしと感じておりました。
経田小学校は富山湾に面する歴史ある町の小学校です。新タ校長先生の明るく爽やかな笑顔でお迎えいただき、私たちの緊張もすっとほぐれました。およそ1年前にスケジュールの打診以来、細かな調整をかさねていただき、新タ校長先生はじめ経田小学校の先生方には、直前までたいへんにお世話になっておりました。校長室でお茶をいただき、新タ先生と和やかにお話させていただきました。
そして音楽室の扉をあけたところでハプニング。
教室の壁ぎわに鎮座する新しいアップライトピアノ。2台ピアノの血が騒ぎました。お二人のアイディアにより、とっさに2台ピアノのプラグラムが組まれました。まったく視線のあわない場所にある2台なのですが、そんなこと問題ではないようです。思いがけず、2台ピアノを演奏することに。
経田小学校のみなさんはとても一生懸命に誠実にお二人のお話を聞いてくださいました。緊張しすぎて固くなるようなお子さんは見受けられず、自然にリラックスしながらも興味津々の表情でエネルギーにあふれたお子さん達でした。
ドゥオールの演奏とトークは子供達のイメージをどんどんふくらませてゆきます。目をつむって曲を聴く。つぎに同じ曲を聴きながら、思いついた色や形を画用紙に描いてゆく。音楽を聴きながら絵を描くのはなかなか面白そうなことでした。
お二人のお話にも、子供達は釘付けになります。
ピアノを弾きながら、これだけ話せるというのは、すごいことです。
アップライトピアノの仕組みもレクチャーします。藤井先生の直球勝負のトークに子供達は釘付け。その間に白水先生のフォローが絶妙に入ります。白水先生の優しい笑顔に子供たちはうっとり。
週末に魚津市のいくつもの小学校が集まる合唱コンクールをひかえ、児童のみなさんには、お二人の伴奏で課題曲を歌っていただきました。お二人とも真剣に伴奏をさらってくださったそうです。真剣な演奏にのせて、すばらしいアンサンブルになりました。お二人がイメージをふくらませて伴奏して音楽を作ってゆくのに、のびやかな声で子供達はすばらしく上手に合わせていきます。リハーサルなしの一回勝負。見事な本番でした。
経田小学校のみなさんからは、後日、たいへんに厚いお手紙の束を送っていただきました。おひとりおひとりの感想が、楽しい絵と共に綴られていました。クラスコンサートをお世話していて、これほど嬉しいことはありません。ドォオールのお二人も、心して読んで下さいました。
「みなさんが大人になってからでもいいから、いつか、僕たち二人が音楽室に来てピアノを弾いていったなあ、と何かのおりに思い出してくれると嬉しいです」
藤井先生が目の覚めるようなピンクの水玉のシャツを着ていたこと、白水先生の上品なドレスがお母様の手作りだったこと、そんなことと共に、音楽室のピアノの音色、想像をふくらませて描いた絵のこと、一緒に歌ったことなどを、思い出していただきたいです。
この学校クラスコンサートを開催させてくださいました経田小学校の先生方、保護者のみなさん、児童のみなさん、ありがとうございました。新タ先生、すばらしい学校で開催できたこと、光栄に思います。
追記
今回の学校クラスコンサートは「平成26年度文化芸術による子供の育成事業(芸術家の派遣事業)派遣分」によっております。
今回の経田小学校のアレンジには当ステーションのスタッフ、黒坂智恵先生にご尽力いただきました。
また、ピティナ本部の森岡さんには資金調達から楽譜の管理までお世話になりました。ありがとうございました。
最後に、富山にいかわステーションが主催したクラスコンサート全5回、全てにお世話になりましたのが元本部の谷口さんです。自分達の仕事がささやかな地域貢献になること、資金調達のさまざまな方法について、一流のピアニストを派遣する意義、ひとつひとつを私にお教えくださったのが谷口さんです。いくぶん私事になりますが、心より感謝申し上げます。