ロシアン奏法に基づく導入指導セミナーを旭堂楽器店サンホール
にて開催いたしました。
遠くは神戸、船橋からもお越しいただき、はじめてロシアン奏法を学ぶという方
が半分以上いらっしゃいました。
お話しは松田紗依先生の20代の留学時代のものから。練習によって腱鞘炎を患った
後に出会った方が、ウラジミール・アシュケナージ氏の奥様のご親友であったこ
と。そのご縁で、ロンドンに渡りロシアン奏法を学ばれ、帰国後に、日本の子供
にも親しみやすく、使いやすいようなテキストを作るため、作曲をはじめられました。
ソビエトのような国家事業としての演奏家育成という高いハードルではなく、
どの子でもピアノを楽しみながら演奏できるようにとの思いから、自身で作曲し
、手書き楽譜で指導をはじめられたそうです。
それが現在のロシアン奏法による松田先生の著書「ピアノレッスン」シリーズ(カワイ出版)につながっています。
ロシアン奏法では、「遠くまで届く 美しいまろやかな音色で一音を弾くために」
はじめの1音を弾く時から"語るような、うた心ある音色"で弾く事をめざしま
す。
まず、受講者の方お一人ずつに、3の指でドの音を、いつもの弾き方で「心をこ
めて」弾いてもらいます。弾く方によって色々な音色が出てくるところが興味深
いところです。
松田先生は、お一人ずつの姿勢、手のフォーム、手首や肘の位置など
細かく指導されます。そしてもう一度弾いてみると、まろやかに響く音に変わっ
ていきます。みなさんとても真剣に、熱心に取り組まれていました。
その後は、初めてピアノを習う生徒さんを指導される際に、大切にされていること
のお話し。初めてのレッスンの日に「ピアノは特別素敵な楽器である」と説くこ
と。それを弾ける満足感を子供に与えるということは、その後のピアノとの向き
合い方の芯になる言葉だと思いました。
また、宿題として、「美しいと思うものを見つける。触れる」という提案や、
「自然をこころの目で見る」など、ピアノを弾く前に、感性を豊かにすることを
大切にされているところが、お稽古という枠を超えて人生を豊かにするヒントの
ようで印象的でした。
一音の大切さについて、2時間たっぷりお話しいただきました。
美しい音楽は、美しい一音の連なりでできています。
どうやって意思のある音をつくるか、フレーズを作っていくのか、
そのヒントは、「初めての一音から大切に弾くことから始まる」いうことが
大変よくわかりました。
