2017年6月6日(火)京都市の旭堂楽器店サンホールにて、松田紗依先生によるブルクミュラー25の練習曲の集中練習セミナーが開催されました。
今年3月にカワイ出版より発刊された松田先生の著書「ブルク25のポイト集中練習」のテキストを基に、先生の演奏を交えたお話しが始まりました。
会場には、30名を超える方にお越いただきました。
ブルクミュラー25は、ほとんどの方が習う人気の練習曲集ですが、曲がすすむつれて、テクニックのつまずきがあらわれてくるのもこの頃でしょう。
そのつまずきを解消して、曲のイメージにあった音色を作るにはどうすればよいのか。
まず、よくありがちな演奏例を先生が演奏されました。指がコントロールできず転んでいる6分音符。左手和音の伴奏がかすれたり、乱暴になったり。固く表情のないレガー。拍感のない単調な演奏など。会場から
「うんうん、あるある」という声も。どんどんお話しに引きこまれていきます。
どうすれば、曲のイメージにあった演奏になるのか。
まずは、手のフォームと音色の関係性をつかむことが大切で、のカギは「弾いていない指」を意識することと大きく関係がありました。
そのことについて、松田先生は、手や肘の向き、手首の高さや柔らかさ、
どのように鍵盤にタッチするのかを、微に入り細に入り解説されました。さらに、彩り豊かな音色を引き出すためのタッチにオリジナルの名前をつけられいます。「クッションのタッチ」「ゆばタッチ」「リボンのタッチ」「ミトンのフォーム」など。それは、手の動きを連想させてわかりやすく、それをイメージすることで気持ちもほぐれるようなチャーミングな例えです。美しい音色の先生の演奏例と楽しくわかりやすい解説で、「目から鱗!」のあっという間の2時間。
松田先生がはじめて指導者向けのセミナーを開催されたのが10年前。
会場は、同じ旭堂楽器店だったそうです。2015年にロシアン奏法による初級テキト「ピアノレッスン」シリーズ全8巻をカワイ出版から刊行されましたが、30年前よりロシアン奏法による自作曲の初級テキストで指導をされていました。
そのテキストを初めて店頭に置いたのも旭堂さんで、そのようなご縁
に大変感慨深いものがあるとおっしゃっていたのが印象的でした。
松田先生の言葉は、「手の平の下の空気を感じる、余韻を聴く、とび箱を飛んでいるように!ビロードのリボンを引っ張るように、ギンガムチェックの敷物を草原に敷いて、、、」等々、五感、いえ六感までもが呼び覚まされるような松田先生ワールドが満載でした。演奏上の技術のみならず、芸術的感性の豊かさが演奏にもたらすものについて再考させれたことは言うまでもありません。
ご来場いただきました皆様、ありがとうございました。
レポート:京都アトリエステーション スタッフ 高田佳世子