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『今年度コンペ課題曲講座を終えて』
3月半ば雨上がりの爽やかな空の下、満席の熱気溢れる会場で、赤松林太郎先生による課題曲講座が行われました。
当日はA1・B・C・D級のバロック~近現とE・F級の近現の作品について、時代の流れ毎に縦割りにし、全ての級に繋がるポイントを押さえながら、素晴らしい演奏を交えた内容の濃い講座となりました。
50曲以上の作品についてお話し、説明を頂いた中、一つご紹介致します。ソナタなど古典派の作品に多くみられるポリフォニースタイルの四声を演奏するときについてです。
モーツァルトの作品に♭系が多いのは木管楽器の響きのイメージから作曲されてるからで、ピアノで演奏する私達は木管の音色を創らないといけません。
又、弦楽四重奏、交響曲を多く残したハイドンのピアノ曲では弦楽四重奏の音色をイメージして創るべきなのです。
調べてみたところ、実際にハイドンの交響曲104曲中に♭系の曲は30曲余りしかなく、その中の長調においてはF:,B:,ES:しかありませんでした。私もオーケストラの曲はとても好きで、よく聴きますがこのように関連付けてませんでした。
ハイドンの優美で平和的な作風に、このような調性と人間性が重なり、あらためて赤松先生のお話しが深く心に残ると共に、ピアノ以外の楽器、室内楽、オーケストラなどの楽曲をどれだけ聴くか、アンサンブルを経験するかが、いかに大切かをあらためて痛感致しました。
赤松先生は課題曲として取り上げられた作品から、幅広く大切なお話を流れ止めることなく展開させておられ、一言も聴き逃せない講座となりました。
コンペへの生徒参加のあるなしに関わらず、レスナーとして、これだけの時代と国をまたがった作曲家と作品に触れるチャンスはまずは無いでしょう。
1人でも多く音楽を愛してくれる生徒をそだてる私達は、いつもフレッシュなアンテナを立てて行かねばと感じ得られる、課題曲講座となりました。
ご多忙な赤松先生、短い時間の中で多くの貴重なお話、本当にありがとうございました。
(レポート 川岡優子先生)