2010年7月20日、稲垣千賀子先生の「小さな子供のための音色の使い分け」講座が富山支部にて開催されました。今回が支部になって初めての講座で、約40名の熱心な指導者が聴講いたしました。
まず初めに先生は、レッスンに対する思いをお話しされました。
先生は生徒さん達の事を「(かわいい)パートナー」と呼びます。生徒さんの身体を通して自分が勉強させてもらっているのだから、生徒を育てることはすなわち自分を育てる事である。
特に幼児期はとても大切な時期で、向上心を育てるため、「今日、今が一番大切だ」と思ってレッスンをする事が私達指導者の役割だ、とおっしゃいます。
そして親・生徒・指導者の三つの柱の大切さも、かつてのエピソードを紹介して伝えて下さいました。幼稚園児だった生徒さんのレッスンの時に『枇杷のうた』を歌った時、枇杷を知らない我が子のためにお母様が枇杷の実と葉を用意して下さったのだと。
そんなお母様に育ったお嬢さんは今では生徒さんをたくさん抱えたとても素敵な先生になって
いるそうです。
また関本昌平さんとの出会いのエピソードもお話し下さいました。
関本さんの演奏はコンツェルトもソロも今までに何度か聴く機会がありましたのでとても興味深く聞かせてもらいました。小学生の時にピアニストを目指したいと決心した彼と先生は一緒に歩んでこられたそうです。お父様が毎回レッスンに付き添われて彼をサポートしていた事も聞かせてもらいました。先程のご家庭同様、まさに三つの柱の一つ一つが結びついて現在の彼がいるのだと、先生と関本さんの歴史を少し覗かせてもらいました。
そして、「稲垣千賀子先生魔法のことばがけ集」より素敵な言葉を沢山教えて頂きました。子供のレッスンにはイメージを持たせる事が大事。音楽的な事をわかりやすい言葉で伝える事で感覚的に理解していくそうです。
例えば和音を弾くときには「手の中に全部音を集めてね」「ここに宝石箱があるよ」と声をかけるそうです。他にも「ここはぶっとい音、ここは天使よ」「バレーシューズのステップよ。長靴にならないでね」・・・こんな先生の言葉に導かれて子供達はどんどんイメージを膨らませ音に変化をつけていくそうです。 「キラキラした音でね」。私もこんな風に子供達に言葉をかけてあげたいと思いました。
二時間のお話を伺って、常に全力投球している先生の姿をとても近くで感じる事が出来ました。「この子にとって、今日の私はどうだったかな」と毎日のレッスンを振り返る先生の姿勢、生徒と一緒に学んでいく姿勢を是非私達も身につけていきたいと思いました。
今回の先生のお話は指導者としてあるべき姿をもう一度見つめ直す機会となった、心に残るお話でした。稲垣先生、素敵なお話をどうもありがとうございました。