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アンデルセン先生公開講座 開催レポート

 3月14日(金)、カワイミュージックショップ仙台にて、ディアーヌ・アンデルセン先生の公開講座が行われました。講座は、二人の受講生によるマスタークラスと、質疑応答を交えたレクチャーの二部構成。大変充実した内容に、集まった約50人の聴衆の皆さんは、メモを取ったりしながら非常に熱心に聞き入っている様子でした。

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PART①《公開レッスン》
・受講生
山内美玲(小5) ベートーヴェン:ソナタ op.14-2 第3楽章
小田まこ(中1) ハイドン:アンダンテと変奏曲

PART②《レクチャー・質疑応答》
・ヨーロッパのピアノ教育の現状
・導入の年代でどのような基礎教育が必要か
・家庭に望まれるフォロー&メンタルケア

まずマスタークラスでは、非常に正統的な解釈でもって、作品の背景や裏話なども交えながら丁寧に分かりやすく指導をしてくださいました。聞き慣れた楽語の意外な語源。当時使われていた古楽器での奏法がどうであったか。フレージングの規則性に、弱拍でのスフォルツァンドの意義......。本当に興味深いお話が盛り沢山で、先生の深い教養と幅広い学識に脱帽でした。

 

DSC_6359.jpg楽譜に忠実に弾く = 個性のない演奏。
自由に表現して弾く = 音楽的な演奏
しばしば、日本の音楽教育の現場ではそんな誤解が生じてしまいがちです。
自由に気分良く弾いていたものを「インテンポで」「楽譜どおりに」と諭されると、急に覇気をなくし、機械のようになってしまう子供達。そして本来の作品の姿とは違っていても、より華やかに素早く弾けているのならば、まぁそれはそれで良し、としてしまう私達教師。
けれども今回のアンデルセン先生の講座を通し、楽譜に忠実である事は、表現の幅を狭めてしまう行為などでは決してなく、むしろ表情豊かな演奏へと導いてくれるものなのだということ、そして楽譜に書かれたすべての音符、記号(スタッカートやアクセントひとつひとつが、作曲家や作品、その付けられた箇所によって全く違う意味合いを持っている)を尊重し、追究することによって初めて、音楽があるべき正しい姿でもって生き生きと輝くのだという事実を、改めて実感することができました。

 

DSC_6351.jpgその他にも、子供たちに自立心と責任感を持たせ、幅広い事柄に視野を向けさせること、ただピアノに向かうだけでなく、作品とその背景――歴史、文化や言語をも含めたバックグラウンド――を正しく理解することの重要性など、今後の教育においての助けとなる貴重なお話を沢山伺う事ができました。

 

DSC_6376.jpg先生、どうも有難うございました!

(Rep.松坂優希)


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